今日のArturo'sのトリオは、ジョニー(ベース)、NYUの大学院にも通っている。課程は、ミュージック・ビジネス。そして、マット(ドラムス)は、たいへんなセロニアス・モンクのファン。
おもしろい飛び入りがあった、ビル・サリバン、フランク・シナトラを彷彿とさせる、ワンダフル・ジャズ・シンガー。もう、マイクロフォンの持ち方から違う。フォーマルな、でもあっさりとしたスーツで登場。トークが、しゃれてる。あ、これは、プロだな。(プロを自称するアマチュア・シンガーの、ニューヨークでは、なんと数多いこと。)ここでは、ミリオンというジャズ・シンガーたちがしのぎを削っている。プロになれるのはごく一部。つまり、相当鍛えられているということだ。さすが、まずひとりひとりの我々ミュージシャンたちの名前を尋ね、すぐ覚え、いちいちソロをとったあとに、きちっとミュージシャンを紹介してくれる。(アマチュアには、このタイミングが、至難の業。)拍手の嵐。チップもたくさん! いい夜だ。
このあとは、例のおいしいフレンチ・レストランでの仕事。マンスリー・メトロ・カードで、公共のバスにて移動。テナー・サックス、NY生まれ、NY育ち、前身はファイナンシャル・アドバイザーだったクレイグのトリオだ。彼の人生において、たくさんの収入よりも、大好きな音楽を選んでしまったらしい。
今日のベースはロシア人の、ドミトリ。このギグのあと、ロシア人のウオッカの飲み方を習う。きゅーりの漬け物とウオッカは、かかせないペアなのだそうだ。私の知り合いがロシアに行ったときに、朝からカフェでゆったりとくつろいでいたその老人たちのマグカップのなかは、もちろんコーヒーではなく、ポテト・ウオッカだったとのこと。その話をしたら、ドミトリは、笑ってたけど。 先日ツアーで久しぶりにロシアに帰ったとき、あまりにあちこちがライトアップされ、まるでラス・ベガスのようだった、と。う〜ん。今はマクドナルドさえあるそうだからね。クイーンズにある、ポーランド人の歯医者さんは、とても安くていいよ、と、教えてくれた。(ポーランドも社会主義だったところだから、お金を馬鹿どりしないのでしょう。)以前、中国人の歯医者さんもそうでした。
で、休憩時間にふらっと訪れた他の店のブッキング・マネージャー、アフリカ系アメリカ人・キース。「 あ、誰、ピアノ?来週水曜日、うちの店で大きなイベントがあるんだけど、ピアノだけ見つからなくて困ってたんだよ、時間取れる?」 「Sure! No problem!」で、このあと自宅に戻ったら、さっそくこのバンド・リーダー、テリーから、留守電がはいってました。今週末、また未知の可能性を秘めたミュージシャンたちとリハーサルです。これはごく普通の1日ですが、ニューヨークって、割とおもしろいところです。