ファヒータは今日も言畑(ことばたけ)に
言葉を拾いに行った。
言畑では、まだ青く小さい実たちが
上を向いて春の暖かい太陽を待ち望んでいる所だった。
ファヒータは、このまだ青く小さな実を
カゴに入るだけ入れようとしたが、
それは容易ではなかった。
まだ青く小さな言葉の実たちが思い思いに囁きだした。
「いったいナンだってゆうんだ」
「アボカドがどうかなんてエビに聞けばいいだろう?」
「こんな時間に食べたくなるから悪いんだ」
「真ん中の種は一緒にまぜるんだぜ」
「ピンクと黄色のワンピースがそんなに欲しいか?」
「だいたいファヒータに似合うハズがない」
「恋でもしてんのか?アハハハ」
ファヒータは顔を暖炉の炎のように赤くし、うつむいた。
「・・・しずかに。」
熟れた赤い実が言うと、あたりは静まりかえった。
ファヒータは急いで言葉の実をカゴに入れ、
その場を逃げるように立ち去った。
その頃のファヒータには
言葉の実を持ち帰らなければならない理由があったのだ。

最近のコメント